魔刻 第一章

ススム | モクジ

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 どのくらい昔の事であっただろうか。もう、覚えている者はいないほど遥か昔のことだろう。
 いつの時代もそうであったが、何かの勢力がどこかで必ず争いが起きたものである。歴史上の出来事もそうであろう。また、見えないところでも小さな争いは起こっては消えていった。
 この裏では、2つの勢力が姿を変え、形を変え、互いの権力を争っていたのだ。
 それは光と闇の、超越した力を持つ者達の戦乱の歴史でもあった。

例えば、織田信長。
 彼は光のものであった。それも新しい新興勢力であり、それがそうだとは誰も考えられなかったのだ。
 あまりにも画期的で破天荒な政治、戦略、豪快な言葉、審判・・・そのものたちも異端児に手を焼いた。そのものたちもあのものたちと疑うようほどに。
 それも戦略の一つだったのか・・・。

 それを見破られるのはそう時間もかからなかった。

 例えば、豊臣秀吉。
 彼は明智光秀を誘導した、仕向けた、まわりも動かしてしまった。
 かのものが森蘭丸を仕向けたにもかかわらず、若さゆえの未熟さか、守り通す事ができなかった。
 そして、本能寺の変後、彼は天下人となった。
 軍事力を挙げた、城の周りに堀を作り守備を整えた、謀反を防ぐ為刀狩もした、財力を上げるため貿易も力を入れた、侵略も考えた。

 それも長くは続かなかった。

 例えば、徳川家康。
 彼らの中に潜み、機会をうかがっていた。そして、彼も天下人となった。
このようにして、光と闇の勢力争いは歴史に極力残されないように裏で裏で、時には静かに、時には大胆に行われていたのである。

そして、現代。
一見、この時代もそのような争いが見られないように思える。
もちろん、争いは続いている。
社会の影で、影で。

 光の者達の名は「聖仰神一族」、闇の者達の名は「邪仰神一族」。

 彼らの戦いは、人間がいる限り、永久に続く。
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